日本余暇学会の学会編集本

「余暇学を学ぶ人のために」 (2004年12月・世界思想社刊)

「余暇学を学ぶ人のために」表紙

瀬沼 克彰 / 薗田 碩哉・編 日本余暇学会監修

遊戯社 2004年12月15日刊 236頁 1,900円(税別)

社会学者・井上 俊 先生からご寄稿頂いた第10章以外は、当学会のメンバーによる執筆。
未来の学である「余暇学」の魅力を提示する。「余暇学」の入門書。

目次・執筆者一覧

  • 序章なぜ「余暇学」か 瀬沼 克彰
  • I. 暮らしの中の余暇
  • 第1章 日本人の余暇生活をチェックする 辰巳 厚子
  • 第2章 スポーツを通してみる余暇の実相 高尾 都茂子
  • 第3章 余暇が生みだす社会活動 阿瀬 一夫
  • 第4章 日本人の余暇の歴史 荒井 魏
  • II. 余暇と社会の関わり
  • 第5章 余暇に支えられ、リードされる生涯学習 有馬 廣實
  • 第6章 余暇に関わる国と自治体のサービス 瀬沼 克彰
  • 第7章 余暇産業と余暇消費 中藤 保則
  • 第8章 情報社会の新しい余暇 福田 峰夫
  • 第9章 余暇環境をどう整備するか 下島 康史
  • III. 余暇理論の探求
  • 第10章 余暇学の可能性 井上 俊
  • 第11章 西欧の余暇論を読む 杉座 秀親
  • 第12章 現代哲学から見た余暇 薗田 碩哉

「総合的余暇学」の試み

本学会4冊目の単行本。学会メンバーを中心に12名の余暇研究者が分担執筆した。

“近代の後(ポストモダン)”の生活と社会のあり方が模索される今日、あらためて日本的余暇の伝統を回復し、労働と余暇の新しい関係を構築することが求められている。日本人のライフスタイルをデザインし直すと言う大きな課題に向けた「総合的余暇学」の試みである。

我が国は余暇研究においてはまだまだ後進国と言わざるを得ない。もちろん日本にも余暇がないわけではない。それどころか余暇関連産業は国民経済の中で無視出来ない規模を誇り、余暇生活の各論と言うべき文化やスポーツや学習活動もそれなりに盛んである。だが、それらを対象とする研究は各論にとどまって、余暇の総体を体系的に見るという視点は未成熟である。余暇に関心を持つ大学の研究者がいないわけではないが、余暇を主題とする学部はおろか、学科さえもできていない。二、三の民間研究機関が余暇研究の灯を守ってきたというのが実情である。それでもそれらの機関の周辺で多様な視点を持つ研究者が各自の余暇学を追求し続けてきた。本書はその蓄積の上に立って、これから発展すべき総合的余暇学のデッサンを試みたものである。

(本書「はじめに」より、一部抜粋)

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「余暇事業論−多様化する余暇事業の未来予測」 (2003年・くんぷる刊)

「余暇事業論−多様化する余暇事業の未来予測」表紙

日本余暇学会・監修 瀬沼 克彰・薗田 碩哉 編

くんぷる 2003年4月18日刊 257頁 2,200円(税別)

12人の学会会員が21世紀の課題を踏まえつつ、
それぞれの立場で余暇事業の現状と未来予測を展開。

目次・執筆者一覧

  • 第1部 学習・研究対象としての余暇 瀬沼 克彰 杉座 秀親
  • 第2部 地域(コミュニティ)と余暇事業 木元 稔 本庄 美佳 松澤 淳子 松澤 利行
  • 第3部 余暇と関連事業 小泉 勇治郎 牧川 優 西湖 秀明 近藤 太一 坂内 夏子
  • 第4部 余暇事業の未来予測 薗田 碩哉

余暇事業の現状と未来予測を概観

本学会は最初の単行本として、昭和50年に『新時代の余暇』第一法規出版を刊行したが、2冊目は平成14年に『余暇の新世紀』遊戯社を出版した。本書は3冊目で、余暇の提供者(事業者)に着目して、執筆者の専門分野から見通したわが国の現状把握、将来の方向性を予測することをねらいとした。

余暇事業は、大別すると行政と民間に分けられる。行政については、平成13年の省庁合併によって、余暇を冠した経済企画庁余暇・市民活動室、通産省余暇開発室の二つとも余暇の2文字は消えた。それぞれ、市民活動室、サービス産業課という新しい名称に変わった。

これによって、中央省庁から余暇を冠する窓口はなくなった。全国に3000ヶ所もあった旧労働省の勤労者余暇施設は自治体や民間に売却され、文部省の青少年施設も民営化された。余暇行政は逆風化にあり、予算も担当者の数も毎年減少している。 一方、民間企業も、宮崎のシーガイヤや、長崎のハウステンボスの倒産に代表されるように、不況の嵐が吹いている。行政も民間も供給者にとって、きわめて厳しい状況が続いている。

しかし、デフレ不況下でも人々の余暇時間は確実に増加し。余暇意識は高くなっている。需要の増大に対して供給の伸び悩みは、新しい余暇問題を発生させる。私達はこれらを事前キャッチして、対策を立てておかなければならない。

本書はこうした問題意識をふまえて、4つの視点から余暇事業の現状分析と未来予測を行った。

第1部、学習・研究対象としての余暇では、余暇とは何かといった定義、余暇ニーズと事業の行方、余暇論の変化を論じ 、第2部、地域(コミュニティ)と余暇事業では、定年後の余暇、ボランティア・NPO、自治体の生涯学習を取り上げた。

第3部、余暇と関連事業では、生涯学習事業、健康スポーツ事業、カルチャーセンター、観光事業、ホスピタリティ事業などの現状分析と予測について最新のデータをベースに取りまとめた。第4部、余暇事業の未来予測では、各々の事業に一貫して流れるトレンドや新しい視点を考察した。本書が余暇を研究する人のための基本文献になることを願っている。(瀬沼克彰)

(日本余暇学会ニュース 第38号より)

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「余暇の新世紀−ポストモダンのライフスタイル」 (2002年4月・遊戯社刊)

「余暇の新世紀−ポストモダンのライフスタイル」表紙

日本余暇学会・監修

遊戯社 2002年4月4日刊 230頁 2,400円(税別)

14人の余暇研究者が今日の余暇問題を網羅的に取り上げている。新生日本余暇学会待望の1冊。

目次・執筆者一覧

  • 序章 余暇の新世紀を探る 瀬沼 克彰
  • 第1章 ポストモダンの余暇論 薗田 碩哉 中藤 保則 石井 尚武
  • 第2章 社会性余暇の探究 瀬沼 克彰 大倉 秀介
  • 第3章 少子高齢社会を生きる 荒井 魏 阿瀬 一夫 高尾 都茂子 大下 勝巳
  • 第4章 余暇支援の可能性 辰巳 厚子 福田 峰夫
  • 第5章 新しい観光文化の展望 近藤 太一 志賀 善一良 下島 康史

余暇学会5年間のエッセンスをバランスよく...

日本余暇学会としては休眠前の旧・余暇学会が1975年に「新時代の余暇」を上梓して以来、実に四半世紀ぶりの出版である。書名も前著の「時代」が新著では「世紀」になって余暇が前へ出ている。それだけ余暇の前進があったということだ。

14人のメンバーがそれぞれの問題意識を披露しているが、現時点での余暇問題の広がりが余すところなく捉えられている。序章ではまず、20世紀を通じて余暇の量的拡大の跡をたどり、その質的変換が始まったことが指摘される(瀬沼)総論にあたる1章では余暇の文明史的な考察をもとに余暇の基本的な課題が示され(薗田)日本人の余暇のルーツを江戸期にたずねる歴史論(中藤)、これからの余暇の姿を「日常生活の冒険」に求める論考(石井)が対置されている。新世紀の余暇の中心概念となるはずの「社会性余暇」は2章で取り上げられ、これまでの利己的な余暇が「利他的余暇=社会性余暇」へと拡大し、ボランティアの意味が大きくなっていくこと(瀬沼)、またその動きを「企業中心社会から市民的成熟社会へ」の変化として豊富なデータをもとに詳述した論考(大倉)が続く。

3章では世代と余暇を関わらせた考察で、まず青少年の余暇教育の課題を遙かにローマ時代に遡って検討し(荒井)、一転して長寿社会の元気高齢者の生活を取り上げ(阿瀬)、長寿のポイントである「健康寿命」の拡大を余暇と関わらせ(高尾)最後に中高年サラリーマンの生きがいづくり活動を紹介する(大下)。

4章は余暇支援論である。個人の余暇を支援するレジャー・カウンセリングがいかにして可能になるかの検討(辰巳)を土台に、IT時代に対応した余暇情報サービスの課題と方法が詳述される(福田)。余暇実践の中で最大の課題となる観光を取り上げた5章では、世界的な視野に立って観光文化産業の台頭をチェックし(近藤)、余暇空間としてのリゾートを取り上げてわが国の現状を分析し(志賀)、最後に余暇空間としての温泉地歴史と新しい展開を紹介(下島)している。

バランスよく日本の余暇問題を概観した本書は、余暇学への格好の案内書であるとともに、大学の余暇論、余暇生活論のテキストにまことにぴったりの内容になっている。ぜひ活用したいものである。 (薗田碩哉)

(日本余暇学会ニュース 第33号より)

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「わが国における余暇問題研究の現状」 (2004年7月・日本余暇学会刊)

「わが国における余暇問題研究の現状」表紙

日本余暇学会

2004年7月20日刊 4,000円

わが国の余暇問題研究者の実態を調査

2003年度に「余暇問題研究に関する調査」アンケートを当学会会員及び全国の余暇研究者を対象に実施したが、回答を得た139名の研究者についてその結果を集計、分析した。付属資料として、余暇問題研究者の個表も掲載している。

過去には昭和55年度と61年度に文部省補助事業として(財)日本余暇文化振興会が同様の調査を行っている。この2つの調査とも瀬沼克彰氏(当学会会長)が責任者として関わってきたが、17年ぶりの調査となる当会による今回の調査についても、同氏が主査となり、豊富な経験を生かし、報告書をまとめ上げた。

調査対象者の選定は、インターネットによる大学入試センターの大学ガイドハートシステム及び河合塾大学教授・研究者インフォメーション、広潤社『大学職員録』、日本余暇学会会員名簿などを参考にした

調査研究プロジェクト

研究主査 瀬沼 克彰(桜美林大学教授)
研究副査 薗田 碩哉(実践女子短期大学教授)
研究委員 飯坂 徳雄(都立東大和南高校教諭)
     高尾 都茂子(山野美容芸術短期大学講師)
     辰巳 厚子(聖徳大学講師)

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